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2007年7月11日日本経済新聞

<NPOとボランティア橋渡し 「問題意識喚起へ入り口に情報誌」>

 ボランティアの場を見つけるのは意外に難しい。非営利組織(NPO)や非政府組織(NGO)とボランティア希望者をつなぐ無料の情報誌、月刊「ぼらみみ」を名古屋で発行している特定非営利活動法人(NPO法人)、ボラみみより情報局代表の織田元樹(46)自身、初めてのボランティア探しに1年かかった。

 「新聞やテレビでは対岸の火事にしか見えない社会的課題が、ボランティア参加で身近に感じられる」と織田はその意義を解説する。「そのために、ボランティアへの入り口が非常に重要で、それを広げるのがボラみみの役割」

 郵便局に勤めていた織田は1999年、障害児支援のボランティア団体の友人とボラみみより情報局をつくった。発行部数は1万部。苦労したのは配布先だ。名古屋駅周辺の書店やCD店を回ったが、オウム真理教事件のせいか、どこも置かせてくれない。しかし、つてで訪ねた書店が引き受けてくれ、感激した。今では80ヵ所に拡大している。

 求人側は500団体で、半分以上が福祉系。人気があったのは、東山動植物園で動物の着ぐるみをつけて「野生の動植物を守ろう」と募金を呼びかけるボランティアなどだ。  「善意で自分の金をつぎこんでも限界がある。お金を集められるシステムづくりに挑戦してきた。今、収入は、会費、広告、愛知県や名古屋市からのNPO情報誌の委託収入のほか、ボランティア求人情報をヤフーや厚生労働省に売っている」

 実は、ボラみみにはモデルがある。札幌のNPO法人、ボラナビ倶楽部の月刊「ボラナビ」である。NHKアナウンサーをしていた代表理事の森田麻美子(35)が98年に立ち上げた。「自分がボランティアをした時、誰も助けに来てくれなくて困った。今までこういう情報誌がなかったなんてびっくり」。先輩格だけあって、札幌のスーパー、銀行、ガソリンスタンドなど1,000ヵ所に4万部置いている。

 コンビニ決済できるネット募金や、北海道の特産品のインターネットショッピングを運営、多くの団体に寄付したこともある森田は2000年、もうひとつのNPOを立ち上げている。障害を持つ人にパソコンやインターネットを教えて、社会参加や就労を支援している札幌チャレンジドだ。

 「学ぶ側は1回に1,300円を払う。これまでに延べ2,000人が講習を受けた」と事務局長の加納尚明(45)。「話すことができない人がメールでコミュニケーションが可能になる。筋力が衰えるALS(筋萎縮性側索硬化症)の場合、身体が動かないので、まばたきや、ほおの筋肉を動かすことで発信できる」

 教える講師も初めは健常者だったが、いまはすべて障害者になった。「これまでの福祉は自分たちだけで閉じていた。これからは、企業や行政との連携が必要。こちらからいろんな提案をしているし、実現した事業もある。これこそ社会企業家的な活動だ」と加納は強調した。 =敬称略(編集委員 原田勝広)

(2007年7月11日 日本経済新聞夕刊)

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